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コンタクトレンズを長時間つけっぱなしにするリスクについて

コンタクトはめがねに比べ、ものがゆがんで見えることがなく利便性が良いほか、外見上のイメージを大きく変えることもできるため、幅広い年代の方が愛用しています。特にソフトコンタクトレンズは使用感がよく急速に普及しました。しかし、使用感がよいことから装着時間を守らずに、目のトラブルを起こす方が多くなってきています。今回は長時間コンタクトを装着するとどのようなリスクがあるか説明します。



「つけたまま睡眠」は危険


コンタクトを使い慣れてきた方がよくやってしまうのは、コンタクトを着けたまま寝ることです。

装着したまま絶対に寝ないようにしてください。

結論からいうと失明するリスクが高くなります。



つけっぱなしは角膜の酸素を不足させる


角膜(黒目)は、涙を介して酸素を供給しています。

コンタクトを装着すると、角膜とコンタクトの狭い隙間から酸素が供給されるため、慢性的な酸素不足に陥りやすくなります。


もちろん、寝ているときも呼吸するように角膜も涙から酸素をもらっています。

しかし、睡眠中は涙そのものが少なくなります。

角膜はわずかな涙から酸素を取り入れていますが、睡眠中の酸素供給量は起きているときの3分の1ほどといわれています。


酸素供給量が少ない睡眠中、コンタクトレンズを装着したままだとどうなるでしょうか?

コンタクトレンズが角膜に張り付いているため、わずかな酸素も角膜に届かなくなってしまいます。


その結果、急激な酸素不足になり、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。


仮眠・うたた寝する場合もかならず外すようにしましょう。



コンタクトレンズの装着時間


一般的に、コンタクトレンズの装着時間は10~12時間が目安になります。

しかし、目の状態には個人差があるので、眼科専門医の指示を守るようにしてください。


また、長時間コンタクトを装着している方は、めがねをもっていない場合も非常に多いです。

目のトラブルが起きた場合、おおくの場合コンタクトレンズの使用を中止します。

また、終日コンタクトレンズを装着すること自体、目に負担を掛けています。


酸素を角膜に与えるためにも、かならずめがねとコンタクトレンズを併用して生活するようにしてください。



カラーコンタクトの装着時間は異なる?


カラーコンタクトレンズは一般的なコンタクトレンズより短い時間で外すようにしてください。

普通のコンタクトレンズは、酸素をよく通す素材で作られていますが、カラーコンタクトは酸素透過性が低いものが多く角膜の酸素不足に陥りやすいです。


何度も述べますが、角膜の酸素不足は最悪の場合失明します。

かならず装着時間を守り、異常を感じた場合はすぐに外すようにしてください。



つけっぱなしにより起こるトラブル


コンタクトレンズの不適切な使い方で、目の酸素不足を悪化させるということを説明しました。

なぜ、目が酸欠になるとよくないのでしょうか?ひとつずつ説明します。



乾燥により傷つきやすくなる


コンタクトレンズを長時間つけっぱなしにすると角膜が乾燥します。


乾燥した角膜は非常に傷つきやすく、コンタクトレンズを外す動作だけでもコンタクトのカーブ面で傷ついたりします。


また、長時間装着して外すときや、寝ているときにつけっぱなしにして朝外すときに痛みを感じた経験はありませんか?


「痛い」ということは、コンタクトレンズを外す刺激で角膜が傷ついている証拠です。

この「痛み」がつづくことを角膜上皮障害といい、角膜の一番上の層が傷ついている状態です。


角膜の一番上の層は、軽傷の場合は自然と治癒することが多いですが、不適切な使用を続けることで、さらに下の層まで傷が深くなったり、感染したりします。


これが角膜潰瘍、角膜感染症です。この2つの病気は非常に重度の角膜障害で、失明する恐れがある病気です。


コンタクトレンズを使用している場合、重症化するまでの進行が早く、一晩つけっぱなしにしただけで起こることもあります。


利便性がよいためコンタクトレンズを長時間つけっぱなしにする方が多いですが、失明するリスクがある怖い行為だということを知っておいてください。



角膜の細胞を死滅させてしまう


コンタクトレンズのつけっぱなしにより起こる一番怖い状態です。


角膜の一番上の層は、傷ついても自然と治ることが多いと前述しました。

これは、上の層は細胞分裂が活発なため、外の刺激で細胞が壊れてもすぐに細胞分裂により治る、という意味です。


角膜にはおおきく分けて3つの層がありますが、細胞分裂ができる層は一番上の層だけです。


一番下の層(内皮)は、細胞分裂ができません。

内皮細胞は、加齢により少しずつ減っていく細胞で、この細胞が限度を超えて少なくなると、角膜がむくみ混濁し視力低下が起こります。


内皮細胞は加齢により自然と減る細胞ですが、加齢以外に角膜の酸素不足により急激に死滅します。

コンタクトレンズをつけっぱなしにすることは、内皮細胞を死滅させる行為なのです。


内側の細胞は、一度減ると再生することはできずに元にもどることはできません。

最悪の場合、失明します。また、根本的な治療は角膜移植しかなく手術が必要になります。

近年、若年者でも内皮細胞が少なくなっていることが多く、ほとんどがコンタクトレンズユーザーです。


内皮の細胞は、減っていても自覚症状は全くありません。

かならず眼科専門医で定期健診を受けるようにしてください。



まとめ


長時間コンタクトレンズをつけっぱなしにする行為は、最悪の場合「失明」に繋がります。

目は我慢強い器官のため、おおきな異常があってもすぐに知らせてくれません。

「これくらいの時間なら大丈夫」と決めつけず、かならず装着時間を守り目を休ませてあげてください。



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