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コンタクトレンズとアレルギーについて

コンタクトレンズは角膜にレンズを装用することによって、視力矯正を行う目的としている

医療機器です。コンタクトレンズにはハードレンズやソフトレンズという素材の違い、2週

間や1ヵ月単位などで交換するものなどさまざまな種類があります。今回は、コンタクト

レンズの使用で懸念されることやコンタクトの使用によるアレルギーについてご説明します。



コンタクトレンズの使用で心配なこと


コンタクトレンズは視力を矯正することを目的とし、装用することで視力を矯正し、仕事や

勉強、スポーツなどあらゆるシーンで日常生活をよりよく送れるようになると考えられます。

しかし一方でコンタクトレンズ自体の管理は、使用する本人が行う必要があり、主に以下の

ような懸念点があります。



角膜への負担


コンタクトレンズは、角膜に乗せるように接して装用します。角膜は透明で、細胞に酸素を

送るための血管がないため、主に外気と接している涙の層から酸素が運ばれています。しか

しコンタクトレンズを装用することにより、酸素が運ばれない状態が続き、角膜に負荷がか

かると考えられます。



適正な装用時間


装用時間の目安として、ハードレンズは14~16時間以内、ソフトレンズは12~14

時間以内と添付文書に記載されていることがあります。ただし、レンズの種類や眼の状態、

レンズの度数などによって変わるため、医師と相談の下、装用時間を守って使用するように

しましょう。



正しいレンズケア


目の潤いを保つ涙には、タンパク質や脂質などが含まれ、コンタクトレンズに付着して時間

が経つとレンズ汚れになります。コンタクトレンズを使用する際は、添付文書に従い、正し

い方法で管理することが大切です。コンタクトレンズを取り扱う前は必ず装用前には手洗い

をし、コンタクトレンズのこすり洗いをしてから装用すること、また使用後はも手洗いをし、

十分にこすり洗いをしてから保管するようにしましょう。



定期検査


日本では医師からの処方箋がない場合でも、インターネットや店舗でから直接コンタクトレ

ンズを購入できます。そのるため、定期的な検査を受けない方もおられ、場合がありますが、

自覚症状の有無にかかわらず、何らかの症状が進行している可能性があります。定期検査で

は角膜の状態や感染症の有無を調べるなど、目の健康のために必要な検査です。定期検査は

医師の指示通りに受けるようにしましょう。



アレルギー性結膜炎とは


アレルギー性結膜炎は、目に生じるさまざまなアレルギー疾患の総称です。目は粘膜から花 粉などのアレルゲンが侵入しやすく、結膜にアレルギー反応を引き起こす免疫細胞が多く存

在するなど、アレルギー反応が現れやすい特徴があります。花粉やダニ、ハウスダストなど のアレルギー素因があり、異物感やかゆみ、結膜の炎症などの症状がみられる場合に診断さ れることがあります。また皮膚のテストや血液検査を行い、原因となるアレルゲンを特定す できる場合もあります。



アレルギー性結膜炎の症状


アレルギー性結膜炎の主な症状として、以下のようなことが考えられます。



目のかゆみ


白目の表面とまぶたの裏側にある結膜が炎症を起こすことで異物感や目のかゆみが生じると

考えられています。目のかゆみを引き起こす代表的な疾患でもあります。は、アレルギー性

結膜炎です。毎年、ある特定の時期に発症する季節性のものと、1年を通して引き起こされ

る通年性のもの、特定のアレルゲンに反応して起こされるものに大別されます。2種類があ

ります。また目のかゆみによって目をこすると、目の粘膜がダメージを受け、細菌に感染す

るリスクが高くなることが知られています。



充血


目の充血は、毛様充血と結膜充血にわけられます。毛様充血は、角膜の周辺にみられる青紫

色のような充血で、光を浴びると痛みを感じることはありますが、目ヤニは出ないといわれ

ています。結膜充血は、角膜に近づくほど赤みが薄れるのが特徴です。目ヤニや涙が出るこ

とがあり、アレルギー性結膜炎の場合にみられることがあります。



異物感


異物感は目の中の異物によって生じることや、角膜や結膜のキズや炎症などによっても引き

起こされることがあります。コンタクトレンズなどの異物によって生じることが多く、角膜

や結膜の炎症は感染性と非感染性があります。感染性は細菌やウイルスによるもの、非感染

性はアレルギー性結膜炎によるものが多いとされ、ダニやハウスダストが原因になると考え

られています。



涙が出る


涙は涙腺から分泌され、目を乾燥から守ったり、異物を洗い流したりするなどから守るはた

らきがあります。結膜がアレルゲンからの刺激を受けると、アレルギー反応から充血したり

二次的に角膜にキズがつくとが起き、涙の分泌量が大幅に増えることがあります。



目ヤニが出る


目ヤニは、ムチンという涙の中にある成分が血液中の細胞や病原体などを集めて構成されて

います。日中に大量の目ヤニが出ている場合は、菌などに感染していると考えられます。黄

色くドロドロしている目ヤニが出ている場合は、真菌や細菌の場合が多くが原因とされ、黄

色ブドウ球菌やインフルエンザ菌などが挙げられ、主に片目に発症します。一方、また、サ

ラサラした透明の目ヤニの場合はウイルス感染の場合が多くが原因とされ、涙が増えたよう

に感じることがあります。両目に透明から白色の目ヤニが1ヵ月以上続いているときは、

ドライアイやアレルギー性結膜炎が原因とされています。



まぶたの裏にブツブツができる


アレルギー性結膜炎が慢性化すると、春季カタルという疾患を引き起こすことがあり、まぶ

たの裏側にゴツゴツしたようなものが生じ、強い異物感を伴うことがあります。



アレルギー性結膜炎の原因


アレルギー性結膜炎の原因として、主に以下のようなアレルゲンなどが考えられます。



花粉


スギやヒノキなどの花粉でアレルギーが生じることがあります。アレルギー性結膜炎のほか、くしゃみや鼻づまりを伴うこともあり、イライラするなど精神的にも落ち着かないこともあります。特にスギやヒノキが開花する1~4月に症状がみられたら、早い段階で医師に相談しましょう。



ダニ・ハウスダスト


室内には、さまざまなダニやハウスダストが存在します。ダニは鼻や口から吸い込むことで

アレルギーを発症するといわれています。ダニは一年を通して室内から発見されますが、特

に夏から秋の繁殖期に多く見つかるとされます。



カビ


カビは空気中や人の皮膚などさまざまな場所に存在します。カビは天井や壁、エアコン、畳

や浴室など、住宅内のあらゆる場所に発生し、空気中や人の皮膚にも存在します。気管支の

奥まで達するとされるアオカビ、キッチンや浴室などの水回りに生えやすいクロカビなどが

あります。カビは天井や壁、エアコン、畳や浴室など、住宅内のあらゆる場所に発生します。



ペットの毛


ペットの毛のほか、唾液、糞などがアレルゲンとなることがあります。ペットのアレルゲン

は空気中に漂いやすいため、ペットを飼っていない住居や公共施設からも発見される場合が

あります。



コンタクトレンズの汚れ


コンタクトレンズを誤った方法で管理していると、レンズに付着した汚れが残存し十分に取

れず、アレルギー性結膜炎など眼の疾患につながることがあります。



アレルギー性結膜炎の治療法


アレルギー性結膜炎の治療は、薬物療法です。基本的には抗アレルギー薬による点眼、症状

が強い重症の場合にはステロイド点眼薬を使用することがあります。



点眼


季節型のアレルギー性結膜炎の場合、I型アレルギー反応を抑制する抗アレルギー点眼薬を 使用します。 副作用はほとんどありませんが、花粉の飛散量が多い場合や目の状態によっ ては、症状が治まらないケースもあります。アレルギー性鼻炎を併発している場合には、内 服薬を使用することもあります。症状が軽快しない場合には、ステロイド点眼薬を使用することがあります。ステロイド点眼薬には眼圧が高くなる副作用があるため、定期的に通院し、経過を見ながら治療しましょう。



アレルギーを防ぐための対策


アレルギー性結膜炎を防ぐためには、検査でアレルゲンを特定し、可能な限りアレルゲンと

接触しないことが大切です。アレルギーの検査には、血液検査、パッチテスト、プリックテ

ストなどいくつかの方法があります。



花粉


晴天で乾燥している日や最高気温が高めの日などは、花粉の飛散量が増えるといわれていま

す。飛散している時期は洗濯物を室内干しにする、掃除は雑巾やモップなどを使用して花粉

を浮遊させないようにするなどの工夫が考えられます。また外出する際は、帽子やマスクな

どを着用し、衣類についた花粉をはらい、手洗いを行って、できるだけ花粉が体内へ侵入す

ることを防ぎましょう。



ダニやハウスダスト


床材はできるだけカーペットを使用せず、こまめに掃除機をかけるようにしましょう。また

枕カバーやシーツなどの寝具類は洗濯し、清潔を保つようにしましょう。



カビ


カビは湿気により発生するため、換気をして風通しをよくしましょう。カビを見つけたら、

すぐに除去するようにしましょう。



ペットの毛


ペットと触れ合った後は手をよく洗い、飼育する場所はできるだけ限定するとよいでしょう。

また換気をこまめに行う、空気洗浄機を使用するなど、室内の空気を清潔に保ちましょう。



コンタクトレンズの汚れ


正しい方法でコンタクトレンズを管理し、アレルギー性結膜炎など、目のトラブルを防ぎま

しょう。また医療機関で定期的に検査を行い、目の状態をチェックすることも大切です。



一般的にコンタクトレンズは眼鏡よりも使い勝手がよく、若年層を中心に使用者が増えてい

ます。ただし、正しいレンズケアをする、装用時間を守るなど、使用にあたって注意点もあ

ります。アレルギー性結膜炎など目のトラブルを防ぐためにも、コンタクトレンズは正しく

使用・管理するようにしましょう。



【参考文献】

日本眼科アレルギー学会診療ガイドライン作成委員会.アレルギー性結膜疾患診療ガイドラ

イン(第3版).日眼会誌125:741-785,2021

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